予防ケアとは、むし歯や歯周病から歯を守るための取り組みです。
かつて、歯科医院は「歯が痛くなってから行くところ」というのが常識でしたが、それではお口の健康を保ちづらいことがわかってきました。
そのため、お口にトラブルが起こる前に定期的に歯科医院に通うことで、いくつになってもご自分の歯を美しく健康に保つことができるのです。
いつまでもお口の健康を守るためには、「毎日のセルフケア」と「定期的なプロケア」が欠かせません。
私たちと一緒に、「治療する」から「予防する」へと、意識を変えていきましょう。
日本は先進国にも関わらず、お口の健康への意識が低すぎるといわれているのはご存知ですか? 海外から、「日本人はお口のケアが行き届いておらず、口臭が強い」いうイメージを持たれているようです。実際、日本人の多くが「高齢になれば歯が抜けて、入れ歯を入れるのが当たり前」と思っている人が多く、それが調査結果にも表れています。
一方、予防の意識が高いスウェーデンでは、出産前から赤ちゃんのデンタルケアの指導が行われるなど、小さな頃からお口の中をケアすることが常識となっています。ブラッシングの後はフロスを使う、定期的に歯科医院で検診とクリーニング、メンテナンスを受けるというのも日常の光景となっています。
かつてはスウェーデンも日本と同じく「むし歯大国」でしたが、約30年前に政府が「予防」を国家的なプロジェクトとしてスタート。その結果、スウェーデンの70歳の歯の数は平均21本になり、日本の平均16本とは大きな差が開きました。このように意識を変えるだけでも、健康なお口を守ることにつながります。早ければ早いほど効果の高い「予防ケア」を、今から始めてみませんか?
どんなに高価な入れ歯や義歯も、やはり自分の歯のかみ心地には劣ります。予防ケアの大きなメリットは、いつまでも自分の歯でおいしく食事ができて、会話を楽しめることです。
また歯周病は、誤嚥性肺炎や糖尿病、心疾患、脳梗塞、認知症などの全身疾患とも深い関わりがあるため、お口の健康を保つことは全身の健康を守ることにもつながります。
また、予防ケアを続けることで、生涯にわたり何度も治療を繰り返すよりも、経済的負担がずっと軽く済みます。たとえば歯を1本失ってインプラントにした場合、30万円程度かかると考えると、「自分の歯を守る」ことが大きな節約になることがわかるでしょう。
予防ケアは検診と歯のクリーニングが主なので、お口の中がさっぱりして気持ちがよく、大きな安心につながるはずです。
むし歯や歯周病を防ぎ、お口の健康を保つためには「定期検診」は欠かせません。
お口の中の健康が維持されているかどうか、以下のチェック項目から歯科医師がプロの視点ですみずみまで確認していきます。
これらによりむし歯・歯周病の早期発見やトラブルの原因が判明し、必要に応じて早期治療や適したケアを行うことで、お口の健康をすみやかに取り戻すことができます。
むし歯や歯周病は、細菌による感染症です。そのためお子さまのお口の中の環境は、一緒に暮らしているご家族の影響を受けてしまいがちです。現在、成人の約80%が歯周病といわれていますが、ご家族そろって定期検診を受けて「予防ケア」に取り組むことで、お子さまへの感染を防ぐことはもちろん、ご家族全員のむし歯や歯周病リスクを下げることができます。一日も早く、家族みんなで予防ケアをはじめましょう。
新しい歯ブラシで落ちる歯垢を100%とすると、毛先の開いた歯ブラシでは歯垢を62.9%しか落とすことができません。
だ液は食後のお口を酸性から中性に戻し、歯の再石灰化を促してむし歯を防ぎます。食事の際には1口30回は噛むことを心がけましょう。
歯が生え変わっている最中の小学3年生ごろまでは、歯並びが複雑で磨きづらいため、ご家族が仕上げ磨きをしてあげましょう。